Archive for the ‘思考の時間’ Category

Fall forward – 失敗したら前のめりに倒れればいい / デンゼル・ワシントン

1月 15, 2020

素晴らしいスピーチ。

睡眠を促すもの、妨げるもの11

1月 12, 2020

身体を回復させるために睡眠は最も重要なもののひとつです。

睡眠を促すもの、妨げるものをいくつかピックアップしてみましたので、チェックしてみてください。

 

■睡眠を妨げるもの

1.就寝の4-6時間前のカフェイン、アルコール、ニコチンの摂取。

少量の摂取は入眠を促すが、必ず後で深い睡眠のサイクルが乱される。ニコチンは沈静効果があると思われがちだが、神経刺激物質であるため、睡眠障害の原因となる。

 

2.チラミンの摂取。

ベーコン、チーズ、チョコレート、ナスビ、ハム、ポテト、ザウアークラウト、ビール、コーヒー、ソーセージ、ほうれん草、トマト、ワイン、タラコ、スジコに含まれるチラミンは、ノルアドレナリンの放出を促進し、脳を刺激してしまうため、夜の摂取は控える。(ノルアドレナリンの放出を促進→血圧や心拍数の上昇などの作用を引き起こす)

 

3.遅い時間の鼻詰まりの薬、鼻充血除去薬や風邪薬。

抗ヒスタミンなど眠気を誘う成分が含まれるものもあるが、刺激物質(カフェインやエフェドリンなど)が入っているものもあるので、過敏な人は遅い時間の摂取に注意する。

 

4.午後3時以降に、昼寝をしないようにする。

5.就寝の二時間前までには、大きな食事は済ませておく。

 

 

■睡眠を促すもの

6.朝食にトリプロファンを取っておく

トリプトファンは肉、魚、バナナ、ナッツ、ツナ、ヨーグルト、米などの穀類に含まれる。

朝食は体内時計をリセットするだけでなく、朝に摂取したトリプロファンが、日中にセロトニンとなり、夜に光を落とすとメラトニンとして合成され、沈静化し、睡眠を促す。

 

7.運動

就寝二時間前までの運動は睡眠を促す。寝る5-6時間前に行うのがベスト。

8.シャワーじゃなくてお風呂

寝る1-2時間前に入るお風呂は入眠を促す。ブタクサにアレルギーがなければ、カモミールのエッセンシャルオイルを入れると、尚良い。

 

9.夜の照度を落とす。

以前は2500ルクス以上の高照度がメラトニンの分泌を抑制すると言われていたが、今は300ルクス(普通の部屋の明るさで大体約75~1,000ルクス)でも長時間にわたると抑制される。

蛍光灯やLEDに多く含まれる青い光の波長はメラトニン分泌抑制作用が強いため、夜間は電球色の赤い光が好ましい。

10.睡眠前のメディア制限

寝る前のテレビ、パソコン、携帯電話の操作は大脳を活性化して、入眠障害、中途覚醒の原因となる。逆に、朝はこれらは脳を覚醒させるには有効。

 

11.サプリメントの摂取。

・カルシウム 1500-2000mg/日を夕食後か就寝前に (鎮静効果)
・マグネシウム 1000mg/日 (カルシウムとバランスを保つ必要があり、筋肉を緩める)
・メラトニン 1.5mgから/日 (熟睡を促す天然のホルモン)

・ビタミンB群 ラベルに記載されている規定量 (身体のリラックスを促す)
・イノシトール 100mg/日 (レム睡眠のサイクルを安定させる。レシチンはイノシトールを含むのでレシチンを摂取しても良い)

・ナイアシンアミド 100mg/日 (セロトニンの生成を促す)
・ビタミンC、バイオフラボノイド 500mg/日 (ストレスに対抗するため)
・亜鉛 15mg/日 (睡眠中の細胞の回復を促す)

*単体で取ると、結構な量になるので、亜鉛、マグネシウム、ビタミンB6が含まれるZMA、カルシウムとマグネシウムが含まれるカルマグなどを摂取すると手っ取り早いかもしれない。

そのほかで睡眠を促すサプリメントとしては

・GABA ラベルに記載されている規定量 (沈静の神経伝達物質。神経回路におけるブレーキ)

ちなみにGABAの摂取はカフェインによる興奮を相殺してくれる可能性がある。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4428720/

・グリシン 3g/日 (脳内で神経伝達を落ち着かせる。健康的な睡眠パターンの維持に重要)

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1479-8425.2006.00193.x

などがある。

参考
『睡眠学Ⅰ』
『Prescription for NUTRITIONAL HEALING 5th edition』
『時間栄養学―時計遺伝子と食事のリズム』

マッスルインバランスの改善:強みの強化、弱点部位の改善、姿勢の調節、左右差改善、怪我の予防、すべてのトレーニングプログラムをはじめる前にやっておくこと

1月 5, 2020

マッスルインバランスとは、

『姿勢や生活習慣、仕事やトレーニングなどで毎日繰り返される物理的ストレスによって、特定の筋、関節などの組織が炎症を起こすことが原因となる「筋の不均衡」』

のことを言います。

 

日常での小さなズレというのは、最初は気にならないほどの問題かもしれませんが、身体は全体でひとつの単位(ユニット)として動いていますので、積み重なってくると、

筋の不均衡によるストレス

それに関連する筋肉の調和が乱れる

骨の配列、軟組織の内圧が変化

神経やリンパ、血管循環などに悪影響を与える

内臓や中枢神経に様々な障害を引き起こす

ところまで影響を与えてしまいます。

 

ここまで身体がバランスを崩すと、強みの強化、弱点部位の改善、姿勢の調節、左右差改善、怪我の予防、すべてにおいて悪影響を与えてしまいますので、新しいトレーニングプログラム、食事プログラム、何を始める場合も一旦身体を出来るだけリセットしておきたいものです。

マイクメンツァーがヘビーデゥーティーを始める前に1週間休めと言っていたのも、一旦、負担のかかっている箇所や中枢神経を回復させたいというのがあったと思います。

ただ、休養を取るだけでは、それまでのトレーニングによって蓄積した筋疲労や中枢神経は回復しても、インバランスは戻りきらないことが多いので、特にトレーニングプログラムスタート前か、まだそこまで強度の高くない序盤に修正作業を行っておくと尚良いです。

 

 

■インバランスの種類:
(細かくて読むのがめんどくさい場合は改善方法と下のイラストだけ見てね)

①主動筋-拮抗筋のインバランス

(優位、短縮しやすい筋 ⇔ 延長、弱化しやすい部位の組み合わせ例)

・僧帽筋上部・肩甲挙筋 ⇔ 広背筋
・脊柱起立筋・梨状筋 ⇔ 腹筋群
・股関節内転筋群 ⇔ 中臀筋
・ハム ⇔ 四頭
・腸腰筋・大腿筋膜張筋 ⇔ 大殿筋
など。

例:ハムがあまりにも固いと四頭の動きに制限が出たり効きが悪くなる。

*縮みやすい部位の流れ:筋の持続的な収縮→アクチンとミオシンの結合を解除できなくなる→筋内部の血管を圧迫→酸欠→ATP欠乏→過敏性物質が痛みを誘発。交感神経の反射活動を高める→虚血→筋硬結(きんこうけつ)(筋肉の硬いコリ)が出来る
→この状態で無理やりトレーニングすると断裂などを起こしやすい。

*伸びやすい部位の流れ:筋が持続的に引き伸ばされる→アクチンに接するミオシン頭部の数が少なくなる→収縮能力が落ちる→筋力低下
→意識できない、効かない、挙がらない。

 

②短縮、硬化した筋の関連筋のインバランス

例:①の続きでいうと、ハムが固いと、骨盤が後傾(プリケツの逆で臀部が下がった状態)となり、腰腸肋筋や多裂筋など脊柱を安定化させる筋が伸びて、筋力が低下してしまう。

 

③共同筋間における筋の長さのインバランス:

・内側ハムは短縮しやすく、外側ハムは延長、弱化しやすい
・腹直筋は短縮しやすく、腹斜筋は延長、弱化しやすい。
・大胸筋は短縮しやすく、肩甲下筋は延長、弱化しやすい。
など。

例:内側ハム(半腱様筋、半膜様筋)は縮みやすく、外側ハム(大腿二頭筋)は伸びて、筋力低下しやすい。

 

④関節制御のインバランス

通常は大臀筋が股関節を伸ばし、四頭筋が膝を伸ばす役割を果たすのが、ハムがその役割を補ってしまっている状態。これによって関節のコントロールがより不安定になってしまう。

 

 

■それぞれの改善方法

①について:

●優位、短縮しやすい部位は、運動に制限がかかっているので、温める、マッサージ、ストレッチ。

●延長、弱化しやすい部位は伸びて弱っているので、収縮させる、負荷をかけて強化する。

*逆をしないようにだけ注意。

②③④について:

自分の身体がどのような状態かを正しく評価し、そこから修正をかけていく。

トレーニングの動きの中で戻していく場合は、必ずコントロールできるところまで重量を落として動作を行うこと(出来れば自体重やバーだけから始めるのがベスト)。

*ここから戻していかない限り、絶対にインバランスは戻りません。

 

●基本的に、身体を整えていく順番としては、

①縮んだ部位を緩める
②伸びた部位を締める
③関連筋や共同筋間の動きを正常に戻す
④全体の動きを作っていく

となります。

*縮んだ部位を戻さないまま、収縮をかけるというのは、ブレーキをかけたまま、アクセルを踏んでいるのと同じです。

インバランスには色々なパターンがありますが、一般的に短縮して詰まってしまいやすい部位を赤、伸びて弱りやすい部位を青でチェックしてみたので参考にしてくださいね。

muscle imbalance1

msucle imbalance2.jpg

やりたいことをやること

1月 2, 2020

遠くまで旅する部屋

12月 20, 2019

「僕の小説が語ろうとしていることは、ある程度簡単に要約できると思います。

それは「あらゆる人間はこの生涯において何かひとつ、大事なものを探し求めているが、それを見つけることのできる人は多くない。そして運良くそれが見つかったとしても、実際に見つけられたものは、多くの場合致命的に損なわれてしまっている。

にもかかわらず、我々はそれを探し求め続けなくてはならない。そうしなければ生きている意味そのものがなくなってしまうから」ということです。

 

これは−僕は思うのですが−世界中どこだって基本的には同じことです。日本だって、中国だって、アメリカだって、アルゼンチンだって、イスタンブールだって、チュニスだって、どこにいたところで、僕らが生きていることの原理というものはそんなに変わりはしない。

だからこそ我々は場所や人種や言葉の違いを越えて、物語を−もちろんその物語がうまく書けていればということですが−同じような気持ちで共有することができるわけです。」

『村上春樹 雑文集』

その旅にふさわしい年齢

12月 18, 2019

「やはり旅にはその旅にふさわしい年齢があるのだという気がする。

たとえば、私にとって『深夜特急』の旅は、二十代のなかばという年齢が必要だった。

残念ながら、いまの私は、どこに行っても、どのような旅をしても、感動することや興奮することが少なくなっている。・・年齢が、つまり経験が、感動や興奮を奪ってしまったという要素もあるに違いない。・・齢をとってからの旅は、大事なものを失わないかわり決定的なものを得ることもないように思えるのだ。

もちろん、三十代には三十代を適齢期とする旅があり、五十代には五十代を適齢期とする旅があるはずだ。」

『深夜特急ノート』沢木耕太郎

最後にはどこかへ行き着く

12月 17, 2019

「旅人は、あちらに行き、こちらに行きして、ぐるぐるさまよい歩いてはならないし、まして一ヶ所にとどまっていてもいけない。

いつも同じ方向に向かってできるだけまっすぐ歩き、たとえ最初おそらくただ偶然にこの方角を選ぼうと決めたとしても、たいした理由もなしにその方向を変えてはならない。

というのは、このやり方で、望むところへ正確には行き着かなくても、とにかく最後にはどこかへ行き着くだろうし、そのほうが森の中にいるよりはたぶんましだろうからだ。」

『方法序説』 デカルト

後悔最小化理論

12月 16, 2019

後悔最小化理論とは、80歳になって人生を振り返ったとき、自分の後悔した数を最小化したいということだ。

80歳になったとき、これから大化けするだろうインターネット事業に参入して失敗しても後悔することはないが、参入しなかったことには後悔するだろう。日々その後悔に苛まれるのであれば、この決断は自分にとって信じられないぐらい簡単な選択で、とても良いものであった。

80歳になったとき、”当時を振り返って何と思うだろう?”そう考えると日々のこまごまとした悩みもなくなっていく。

私は1994年半ばでウォールストリートの会社を辞めたが、あなたがそのようなことを行った場合、毎年のボーナスはなくなるかもしれない。

短期的に見れば、それらはあなたを困惑させることになるかもしれない。ただ、長い目で見れば、人生における良い選択とは、「将来後悔しない」ということになるだろう。 

by Amazon創業者ジェフ・ベゾス

So, I wanted to project myself forward to age 80 and say, “Okay, now I’m looking back on my life. I want to have minimized the number of regrets I have.”

I knew that when I was 80 I was not going to regret having tried this. I was not going to regret trying to participate in this thing called the Internet that I thought was going to be a really big deal. I knew that if I failed I wouldn’t regret that, but I knew the one thing I might regret is not ever having tried. I knew that that would haunt me every day, and so, when I thought about it that way it was an incredibly easy decision. And, I think that’s very good.

If you can project yourself out to age 80 and sort of think, “What will I think at that time?” it gets you away from some of the daily pieces of confusion. You know, I left this Wall Street firm in the middle of the year. When you do that, you walk away from your annual bonus. That’s the kind of thing that in the short-term can confuse you, but if you think about the long-term then you can really make good life decisions that you won’t regret later.

全体でひとつの単位

12月 15, 2019

「私たちは、身体を全体としてとらえ、全体で1つだと考えようとしています。

頭に生じた思考や口の中へ入ってくる食物は身体全体へと影響を及ぼすのです。まるで、家族の一人に何かが起こったら、他の家族全員にも影響が及ぶように、及ぶ影響に差があれども、確実に全員が影響を受けるのです。

 

身体の中でも、同じことが起こっています。

例えば、右側のお尻の筋肉が固くなっているとします。それは、左側に弱い箇所があるからなのですが、その緊張ゆえに動きがとどこおるので、右のお尻をかばうことになります。このために左足に別の負担がかかり、その足の位置がずれて、他の筋肉群に負担がかかることになります。

こうして身体の普段の姿勢が変わっていって、内臓の位置にも影響を与えます。そうなると、次には、臓器へ運ばれる栄養が制限され、排泄の状態やホルモンのバランスが変わっていきます。

その人の化学的/心理的バランスが変化を受けると、今度はそのために身体の中の個々の細胞が影響を受け、今までとは違った考え方や感じ方をするようになり、そのためにその後も違った姿勢をとることになります。

こうして、固いところが一ヶ所以上ある場合は、緊張が一ヶ所以上あるし、影響を受けている循環器が一ヶ所以上あるということなのです。

そして、私たちがすることすべてが、残りすべてのものに影響を与えるのです。

 

人は、構造的、化学的、心理的、霊的な存在です。基本構造(骨格)と自然化学作用は相互に作用しあい心理的なレベルへと影響を与えるし、その逆のことも言えるのです。

人間の問題は、いろいろな領域に分けることができます。構造系、神経系、リンパ系、血管系、脳脊髄系、栄養/化学系、そして経絡の領域です。

1つの問題は、ひとつの領域のどこかに潜んでいる場合もありますし、トラブルの起きている全く別の領域をかばおうとする身体の努力の表れである場合もあります。」

『タッチforヘルス健康法 キネシオロジーによる心身バランス健康法』 ジョン・シー著 訳:石丸賢一

卓越性の追求

12月 14, 2019

自らの成長のために最も優先すべきは、卓越性の追求である。そこから充実と自信が生まれる。能力は、仕事の質を変えるだけでなく、人間そのものを変えるがゆえに重大な意味をもつ。

・・・

自らの成長に責任をもつ者は、本人自身であって上司ではない。誰もが自らに対し「組織と自らを成長させるには何に集中すべきか」を問わなければならない。

・・・

自らを成果をあげる存在にできるのは、自らだけである。他の人ではない。したがってまず果たすべき責任は、自らのために最高のものを引き出すことである。人は、自らがもつものでしか仕事はできない。しかも人に信頼され協力を得るには、自らが最高の成果をあげていくしかない。

『プロフェッショナルの条件』 ドラッカー

黄金の奴隷たるなかれ!

12月 13, 2019

”私の学生時代は日露戦争直後で、欧米物質文明横溢の黄金万能の時代でありました。

人よりは金が偉い時代でありました。金さえあればの時代でありました。私共若い者は反抗的に「金の奴隷たるなかれ」と絶叫したのであります。

出光商会が主義として人間尊重を高調したのも理由があるのであります。私共は金の威力、実力を無視することは出来ませぬ。これを否認することも出来ませぬ。ただ私は金の実力を肯定しつつ、人間が金の上にありたい、金を使う時代を作りたい、一にも金、二にも金の世間より逃れて、一にも人、二にも人、三にも人の世の中にしたいのであります。金よりも仕事がしたいという心持ちは、独立主義から当然出て来る心持ちであります。

  

店員に営業方針を示しました。

「出光商会は事業を目標とせよ、金を目標とするな。しかしながら決して金を侮蔑し軽視せよと言うのではない。現代の資本主義制度の時代に、金力を無視し軽視することは自己破滅である。事業資金として大いに金を儲けねばならぬ、経費も節約せねばならぬ、冗費無駄を省かねばならぬ、そして将来の事業資金を蓄積せねばならぬ。

ただ将来の事業の進展を邪魔するような、儲け方はしてはならぬ。あくまでも事業を主とし、資本蓄積を従とし、この本末を誤ってはならぬ」

と時に触れ折を選んで申し聞かしたのであります。

 

金を尊重せよ、しかしながら金にひざまづくなという、この呼吸気分は金の奴隷たる事と真に紙一重である。

店員の不断の修養の力にのみよりて、この妙諦を体得し得るのであります。人間尊重、人物養成の必要なる所以もここに存するのであります。”

「紀元二千六百年を迎えて店員諸君と共に」 出光 佐三 (海賊と呼ばれた男のモデルとなった人物)

走ることについて語るときに僕の語ること

12月 10, 2019

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僕は走りながら、ただ走っている。僕は原則的には空白の中を走っている。逆の言い方をすれば、空白を獲得するために走っている、ということかもしれない。そのような空白の中にも、その時々の考えが自然にもぐりこんでくる。当然のことだ。人間の心の中には真の空白など存在し得ないのだから。

人間の精神は真空を抱え込めるほど強くないし、また一貫してもいない。とはいえ、走っている僕の精神の中に入り込んでくる、そのような考え(想念)は、あくまで空白の従属物に過ぎない。それは内容ではなく、空白性を軸として成り立っている考えなのだ。

『走ることについて語るときに僕の語ること』p32

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ただ僕は思うのだが、本当に若い時期を別にすれば、人生にはどうしても優先順位というものが必要になってくる。時間とエネルギーをどのように振り分けていくかという順番作りだ。ある年齢までに、そのようなシステムを自分の中にきっちりこしらえておかないと、人生は焦点を欠いた、めりはりのないものになってしまう。まわりの人々との具体的な交遊よりは、小説の執筆に専念できる落ち着いた生活の確立を優先したかった。

僕の人生にとってもっとも重要な人間関係(リレーションシップ)とは、特定の誰かとのあいだというよりは、不特定多数の読者とのあいだに築かれるべきものだった。僕が生活の基盤を安定させ、執筆に集中できる環境を作り、少しでも質の高い作品を生み出していくことを、多くの読者はきっと歓迎してくれるに違いない。

それこそが小説家としての僕にとっての責務であり、最優先事項ではないか。そういう考え方は今でも変わっていない。読者の顔は直接見えないし、それはある意味ではコンセプチュアルな人間関係である。しかし僕は一貫して、そのような目には見えない「観念的な」関係を、自分にとってもっとも意味あるものと定めて人生を送ってきた。

『走ることについて語るときに僕の語ること』p58-p59

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思うのだが、たとえ豊かな才能があったとしても、いくら頭の中に小説的アイデアが充ち満ちていたとしても、もし(たとえば)虫歯がひどく痛み続けていたら、その作家はたぶん何も書けないのではないか。集中力が、激しい痛みによって阻害されるからだ。集中力がなければ何も達成できないと言うのはそういう意味においてである。

集中力の次に必要なものは持続力だ。一日に三時間か四時間、意識を集中して執筆できたとしても、一週間続けたら疲れ果ててしまいましたというのでは、長い作品は書けない。日々の集中を、半年も一年も二年も継続して維持できる力が、小説家には――少なくとも長編小説を書くことを志す作家には――求められる。

呼吸法にたとえてみよう。集中することがただじっと深く息を詰める作業であるとすれば、持続することは息を詰めながら、それと同時に、静かにゆっくりと呼吸していくコツを覚える作業である。その両方の呼吸のバランスがとれていないと、長年にわたってプロとして小説を書き続けることはむずかしい。呼吸を止めつつ、呼吸を続けること。

このような能力(集中力と持続力)はありがたいことに才能の場合と違って、トレーニングによって後天的に獲得し、その資質を向上させていくことができる。毎日机の前に座り、意識を一点に注ぎ込む訓練を続けていれば、集中力と持続力は自然に身についてくる。これは前に書いた筋肉の調教作業に似ている。日々休まずに書き続け、意識を集中して仕事をすることが、自分という人間にとって必要なことなのだという情報を身体システムに継続して送り込み、しっかりと覚え込ませるわけだ。

そして少しずつその限界値を押し上げていく。気づかれない程度にわずかずつ、その目盛りをこっそりと移動させていく。これは日々ジョギングを続けることによって、筋肉を強化し、ランナーとしての体型を作り上げていくのと同じ種類の作業である。刺激し、持続する。刺激し、持続する。この作業にはもちろん我慢が必要である。しかしそれだけの見返りはある。

『走ることについて語るときに僕の語ること』p108-p109 村上春樹

世の中の事象はすべて波に支配されている

12月 9, 2019

「私の考えでは、形勢が良い時はじっと動かないこと。形勢が悪くなった時には、必死に我慢して、どこで逆転するかの方策を立てること。これが一番大切です。

形勢が良い時は平々凡々にしていればよろしい。エスカレーターに乗っているのと同じなのです。おかしな動きは、しないほうがいい。こんな時に新手を狙うなんて危険なことは冒さないこと。

・・・

問題は形勢が悪いときです。悪い状態のままじっと待っているだけではジリ貧に終わります。だからといって、形勢の悪いときに勝負手を放っても、だいたい不発に終わるのです。まずそのことを知っておくのが大切。形勢が不利なときに、妙案のつもりでおかしなことをやっても大体は墓穴を掘ることになります。

しかし、不利になってもチャンスは必ず来るものです。したがって、そのチャンスが来るという事を念じながら、じっと様子を伺っているというのが正解です。

・・・

私が敬愛する相場師に、江戸時代の米相場の名人といわれた本間宗久という人物がいます。

この人は世の中のことはすべて波でできている、と説いた。

波ですから、上がれば下がる。下がれば上がる、と。

上がるといっても、いっぺんにわぁーと上がるものもあれば、ダラダラと横ばい風にいくとか、いろいろな形があって、それに応じた読み方があります。もちろん、その読みが常にあたるというものではないけれど、いずれにせよ、タイミングというものを大切にするという考え方です。

形勢が悪くなって、いきなり慌てて暴走すると、一番損する。よく形勢を判断してから態度を決めなければなりません。」

『人間のおける勝負の研究』 米長邦雄

最高のもの

12月 8, 2019

”アメリカのジャーナリスト、リンカーン・ステフェンズが1931年に書いた次の文章を読んでほしい。

すでに成し遂げられてしまったものなど、何一つとしてない、世界中のすべてのものは、これから成し遂げられるのを、新しいものに打ち負かされるのを待ち続けている。

最高の絵画はまだ描かれていない。最高の脚本はまだ書かれていない。最高の詩はまだ生まれていない。世界中を見渡しても完璧な鉄道はなく、非の打ち所のない政府もなく、100%信頼できる法律もない。物理学や数学、また学問の特に先端的な部分は根底から変わりつつある最中だ。化学ははまさに「科学」になりかかっている。

心理学、経済学、社会学はダーウィンのような存在を待ち望んでおり、ダーウィンを扱っていた研究分野は新しいアインシュタインの出現を待ち望んでいる。

もしエネルギーに満ちた大学生たちがこのことを教わったら、アメリカンフットボールやパーティにうつつを抜かし、単位は落とし放題という大学生活を送ることはなくなるかもしれない。

だが、彼らはこのことを教わらない。すでにわかっていることを学ぶように教わるだけだ。こんな教育には何の意味もない。”

『アイデアのヒント』 ジャック・フォスター

「どこまでやれるかわからないけれど、とにかく今日を一生懸命、精一杯やる」という積み重ね

12月 6, 2019

「代表監督が代わったからアピールしないとなんて、選手はいろいろ考えてしまうものだけれど、先のことをあれこれ考えるのは過去を振り返るのと同じで、エネルギー無駄遣い。ひたすら目の前の試合に集中するように意識的にコントロールしている。

僕自身も日本代表でプレーしたいという夢は持ち続けている。だけど今は横浜FCで1部にあがるという目標だけを見据えている。J1に上がれなかったらどうしよう、なんてことも考えない。それもエネルギーの無駄だし、失敗を恐れて臆病にもなってしまう。

余計なことを考えず、練習や体のケアを怠らないこと。それが一番良い結果につながるはずだから。」

 

「ボールのバウンドが少し変化するだけで、得点できるかどうかが変わることがある。「あのとき決めていれば」という1つの失敗が後々になって響き、ほんの少しのズレが大きな結果の違いにつながる。それがサッカー、それが人生だろう。家を出るのが1分遅れるだけで、渋滞に巻き込まれてしまうのと同じ。逆に小さなきっかけから、良い方に転がることもある。

今までにサッカーで喜びも苦しみもスランプも経験した。戦う舞台がJ1でもJ2でも、謙虚な姿勢や成長しようという気持ちが折れなければ、明るい未来があるはず。

悪いことが続くのは、自分があきらめてしまっているとき。上を向いている限り、絶対にいいことがあるんだ。」

『やめないよ』 三浦和良

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