運慶の鑿

運慶が護国寺の山門で仁王を刻んでいるという評判を聞きつけた主人公が、散歩がてらに見学に行く。

「よくああ無造作に鑿(ノミ)を使って、思うような眉や花ができるものだな」と自分はあんまり感心したから独言のように言った。

するとさっきの若い男が「なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋まっているのを、鑿と槌の力で掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出すようなものだからけっして間違うはずはない」と云った。」

夏目漱石の『幻想小説「夢十夜」』より

すべてはあらかじめ内包されていると。

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